以下は、波型スレートの、0~50年の、曲げ破壊荷重と板厚減少値をグラフ化したものです。
上記グラフからは、波型スレートは、表層の風化による板厚の減少で、年々、強度は少しずつ落ちて来る事がわかります。
次に以下の表をご覧ください。20~40年の経過年数の曲げ破壊荷重に対する耐風圧力安全率です。
経過年数 |
曲げ破壊荷重
kgf |
耐風圧力安全率 |
屋根一部材
120kgf/㎡ |
屋根周辺部
360kgf/㎡ |
20年 |
414 |
5.5 |
1.8 |
30年 |
391 |
5.1 |
1.7 |
40年 |
368 |
4.8 |
1.6 |
※注) 建物高さ16m、大波スレート葺き屋根6尺中母屋1本の場合とする
耐風圧力安全率の基準値はそれぞれ、屋根一部材120kgf/㎡、屋根周辺部360 kgf/㎡であり、安全率「1.0」であれば、安全率が普通、上回れば安全率が高い、下回れば安全率が低いということです。
表から分かることは、40年経っても、安全率が1.0を大幅に上回っており、スレートの耐久性・安全性に問題ないということです。
以上より、30~40年経過したスレート屋根でも、充分な耐久性があり、ZeroDRoofによるカバー工事を行うことは全く問題ないことが分かりました。
さて、次は、「従来工法との違い」で、ZeroDRoofによるカバー工法は、既設スレートのフックボルトにロングナットを取り付け、新しい屋根を設置すると書きました。それでは、30~40年経過したフックボルトは大丈夫なのでしょうか?
以下は、新品と劣化品(30~40年経過)のフックボルトの断面写真です。
表面は劣化していますが、30~40年経っていても、ボルトの内部は劣化していなことが分かります。
また、以下は、㈱淀川製鋼所試験センターにて、劣化品のフックボルトの強度性能試験を実施した時のデータです。
・必要条件:軒高:12m 屋根勾配:17度 基準風速:32m/s 建物仕様:閉鎖型
・スレート屋根の母屋ピッチ:850㎜ ビスの横間隔ピッチ:390㎜
・㎡当たりの金具の本数:3.01本/㎡
カバールーフ取付ビスの引き抜き強度
ビスの引き抜き強度 |
270kgf /本 |
㎡当たりの引き抜き強度 |
812kgf /㎡ =270×3.01 |
サドル(通し母屋固定金具)の引っ張り強度
金具の引っ張り強度 |
257kgf/本 |
㎡当たりの引っ張り強度 |
773kgf /㎡ =257×3.01 |
カバールーフ取付ビスの引き抜き強度
この屋根の必要強度は、
屋根一般部:115kgf/㎡ 周辺部:147kgf/㎡ 隅部:162kgf/㎡
屋根負圧強度は620kgf/㎡ですので、屋根の必要強度を大きく上回っています。
見慣れない単位や専門用語が出てきましたので、分かりづらいでずが、この実験から、30~40年経過したフックボルトを利用しても、強度は全く問題ないことが分かります。
その証拠に、今まで、数十万㎡の施工実績がありますが、フックボルトが壊れ屋根が外れたというクレームは一件もございません。
ちなみに、右写真は、実際の取り付け部分です。
取り付け後のロングナットを、フックボルトが見えるように切断した状態です。
フックボルトがロングナットに、しっかりとくっついているのが見て取れます。